東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

終業しない修行⑥

そもそも、馬に乗らなければ落馬しない。

馬に乗らなければ遠くに行くことはできない。

 

低いものを飛び越えるのも、高い場所に登るにも、ふやけた

生き方をしているのでは、失望も絶望もないけれど、極楽へ

繋がるかもしれない、静かな歓喜なる悦びも、味わえない。

 

昔、全身の連動性を勉強している時。

操体の醍醐味は、全身の連動性を理解し予測して導くことにある、と

考えて、連動のパターンを必死に記憶し実践していた。

 

そして、全身の連動性をある程度記憶し、実践学習した後のこと。

三浦理事長から、皮膚の接触による「渦状波®」を体感した。

 

この第3分析を学び始めた時、そのあまりにシンプルで特徴的な臨床

に、当時の私は、なかなか手をつけられなかった。

 

しかし、『いつかやらねばならぬ』と、その時を決め、それ以外では

臨床をしないと決め、修行の一環としてやり始めた。

 

それまでと異なり、感謝される結果もあれば、全くと言っていいほど

地味で即効性も薄いと言われたり、患者の理解は様々であった。

 

一時は、少しずつ少しずつ積み上げてきた石が、最悪の事態になって

しまったのでは、とワタシは焦った。

だが、このようなことを思っている間はまだ最悪では無いのだろう。

 

土壇場で、見出せなかったエネルギーを奮い起こしたところにこそ、

生かされ、生きているその波動を修めるチャンスは秘められていた。


最大のピンチと思っている時こそ、自分の存在的要素を一切捨てる。

患者の一言一句に囚われることなく、「からだ」の要求に適うこと。

 

そして逆転満塁ホームランの如き結果も、現象化されて当然となる。

 

操体は、繋がっていることを感じること。

何と繋がるかが問題で、それこそ、修業となる理由なのだ。