(つづき)
「環境」は環境でも、生まれてくる前、胎児の「胎内環境」は面白いのです。
食べたり飲んだりすることは「操体」で「食」と関係しています。
生物の「食」進化を考えてみると、胎児がどのように口腔機能を獲得しているか
は、非常に興味深いものとなります。
まず、月齢8週の時期。
口(唇)に何らかの刺激が加わると、頸部と体幹の「同側性屈曲」を起こします。
わかりやすく言うと、その刺激のあった方向へ首と体を曲げるようになるのです。
このような、生物が早い時期に獲得する機能は、生命にとって重要なものである、と
意味しているわけですね。
頸部や体感の「同側性屈曲」のうごきは、大人になったり、高齢になったりしても、
すべての動作の基本となります。
ウソかホントか試しにやってみてください。
首を動かさずに水を飲んでみようとすると、かなり困難なことがわかります。
そして、首を全く動かすことなく椅子から立ち上がることもまず難しい。
このようなことを考えると、頸がうごくことで、「からだ」はスムーズに動作として
行われていることもわかるはずです。
月齢12週位。
この頃ようやく、唇そして舌はつくられます。
この唇や舌を刺激すると瞬間的に唇を閉じることができるようになります。
この、閉じることは別に大したことでは無いように思うかもしれません。
ところがギッチョンチョン!実は閉じるから飲み込むことができるのですよ。
口を開けたままつばを飲み込むことができるでしょうか。
どうですか、口を閉じてないとうまく飲み込めないのです。
このとき、舌はどこに触れているでしょうか。
口蓋、つまり上顎に接しているのです。
こう考えると、口が閉じることは舌を安定する、「呼吸」も安定する。
橋本敬三師の哲学にある、生まれながらにして「救い」は成るわけです。
「食」と「息」一つとっても、大切な「からだ」の「胎内環境」なんですよ。
(続く)