少ない山登りの経験のなかで、不思議に感じていることがいくつかある。
その一つに、インプットのことがある。
山中で湧き水の恩恵にあずかる。
登山の小休止に、板チョコをひとかけら口にする。
また腰を落ち着けて、一人用のバーナーを取り出して湯を沸かし、
インスタントコーヒーを淹れる。
ザックに忍ばせたおにぎりやパンを口にする。
これらのことが、平地で何かを食べたり、飲んだりするときとはまた異なり、格別な味わいに感じられる。
気のせいか、食べるペースも穏やかで、量も少しずつに変化している。
自然と食べ方が変わっているのが面白い。
汗を流してからだを使っているから、また格別に感じられることに加えて、
山の中にいるうちに、からだの「感じること」のスイッチがONになっているのではないかと思う。
もしくは、ただ自然な状態に還った、という表現の方が適切なのかもしれない。