東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

何を学んでいるのか・・・2

おはようございます。

 

私も本格的に操体を学ぶ前に、操体法に関する本をいくつも読んでいた。

そして、その中に載っている症状、疾患に対する操体法も注意深く読んでいた。

読んでいて、不思議に感じたのが同じ症状、疾患でも全く違う事を行っていたり、同じやり方で違う症状、疾患にも対応して、その効果を謳っている事。

症状、疾患を何とかしたいとか、治したいといった人には、妙な療法に映ると思う。

本を読むだけでは、なかなか理解が追いつかない。

 

疑問点を抱えつつ講習に参加していたが、ある時「操体には症状、疾患を治すという発想がない」といった旨の話を師がして下さった。

そうなのだ。師がそう断言して下さったお陰でモヤモヤが晴れた。

それまでの、痛い方から痛くない方に動かして、2,3秒間動きをたわめて脱力するという第一分析に於いても、より身体全体を調和に導く事ができれば、どんな症状、疾患にも対応可能なのだ(熟練は要するが)。

痛い方に動かすよりも、痛くない方に動かすほうが、より身体全体を調和に導きやすくなるのは自明の理であろう。

大事なのは、どの動きがその症状、疾患に効果があるという事ではなく、身体全体を調和に導き、からだのバランス制御に向けた働きが発揮できるかどうかである。

だから、操体の創始者である橋本敬三先生も、晩年は第一分析を用いつつも、動きを2,3秒間たわめるとか、瞬間急速脱力に導くといったそれまでの第一分析の決めごとを撤廃して、たわめの間も脱力の仕方もからだに委ねるというふうに、調和に向くからだ本位のやり方に変えていったのだと思う。

 

身体全体が調和に向き、からだがバランス制御に向けば、自ずと症状疾患も治まってくる。
からだがバランス制御に向き健康が回復する過程に於いて、症状疾患も解消されるという事でもある。

治すのは、あくまでからだであり、施術者ではない。

施術者が治し方をいくら学んでも、からだが応えてくれなければ、どうにもならない。

施術者は、からだがより良くバランス制御に向くようにお手伝い、サポートをする立場である。

どう、より良くサポートしていくか。そうした学びは本当に大切だと思う。