おはようございます。
今日、4月29日の昭和の日は、春季東京操体フォーラムの開催日です。
最近は、昭和の日というと春季東京操体フォーラムというように、恒例行事のようになってきた感があります。
今回の春季東京操体フォーラムは実技を中心に、オンライン参加も含めて行う予定となっております。
操体の実技は、症状・疾患を治すという発想ではなく、元々環境への適応能力を有しバランス制御に向く、からだの要求を満たす事にあります。
だから、症状・疾患の治し方のテクニックが知りたいという人が、操体臨床の実技を見ても「何をやっているんだろう?」という感じかもしれません。
そもそも、なぜ治療と環境への適応能力が関係あるんだ?という人もいると思います。
操体の創始者、橋本敬三先生はこう書いています。
『 生命体が自然環境に適応すること、これは生命の至上命令であるから、この絶対原理は自然の救いになっているのである 』
本人が自覚していなくとも、からだが自然環境に適応してくれているから生きていられる。
生きるにしても、環境適応が十分で、健康で快適に生命活動を営めているのか?
それとも、環境適応が不十分で、バランスを崩して不快症状を抱えながら生命活動を営んでいるのか?
自然環境への適応の在り方によって、生命現象は変わるという事であり、症状・疾患を抱え込んだ状態であるならば、環境適応は当然不十分であり、その時点で症状・疾患が治まったとしても再発の虞れは付きまとうし、違う症状の発症の可能性も高くなります。
生身の身体は、自然環境とエネルギーの入出力を繰り返して生存しているわけですから、バランスを崩して症状・疾患を抱えた状態であっても、からだの自然環境への適応能力を呼び覚ます事で、バランス制御が可能となり、症状・疾患を抱えた状態からの回復につながるのです。
これは、本来は自力自療が可能です。
しかし、ボディの歪みをはじめとするバランスの崩れが大きければ、本来のからだの動きの発動は難しく、本人は指導されたとおりに行っているつもりでも、普段の勝手都合のよい動きをとおしてしまい、効果につながらない場合が多いのです。
だから、操者のサポートが必要という事なのです。
被験者本人は、自分がどういう症状・疾患を抱えているかは知っていても、どの様にバランスを崩し、その症状・疾患が引き起こされているかについては知らない。
また、からだが自然環境の構成要素の素と接しながら、無意識のうちにもバランスを保とうとしている事など無頓着でありましょう。
この、からだの有難い営みがより良く機能する様にサポートするのが、操体臨床なのであり、より良く機能するようになればバランス制御に向き、結果的に症状・疾患からの回復があるのです。
ですから、操者は被験者のからだを尊重し、負担や不快を与える事無く、最大限の効果が導き出せるよう、からだに配慮しています。
相手のからだへの配慮は、自分自身のからだへの配慮でもあります。
操者が自分のからだへの配慮を欠いた行いで、動きをとおせば、相手のからだにもそれは伝わってしまい、効果は低くなってしまいます。
自分のからだへの配慮が、相手のからだ本来の動きをより良く導き出す事につうじ、臨床効果も高めます。
そうした特徴も、操体の実技の良いところだと思うのです。