以前数人に『○○さんったらワタシにこんなこと言ったんですよ』と訴えてみたことがある。
Aさんは『そりゃひどいですね〜』と言ってから『悪気はないヒトなんですけどね。気にしないほうがいいですよ』と言った。Bさんは『そんなことないですよ。悪気はないんだから。気にしないほうがいいですよ』と言った。
おまけであるが、別の方は『けしからん。許せんな』と言った(いや何もそこまで言っていただかなくとも)。
AさんもBさんも言っている内容自体は同じなのだが、決定的に違うのは、前者はまず私に同調してから『あるヒト』を擁護した。後者は否定してから『あるヒト』を擁護した。
Aさんには『そうなんだよね〜(笑)』で、済ませる事ができるのだが、Bさんのように最初から『そんなことないですよ』と否定されたら『もうこのヒトに話すのはやめよう』と思うものだ。私は最初にAさんのように『そりゃひどいですね〜』と、同調してもらいたかったのである(笑)
よく、夫婦喧嘩の発端に出される例だが
その1
♀「仕事でいやなことがあってさあ・・・」
♂「オレにどうしろっていうんだ」
♀「誰もそんなこと言ってないわよ」
その2
♀「仕事でいやなことがあってさあ・・」
♂「そんならやめちまえ。オレにそんなこと言うな」
♀「むかっ」
その3
♀「職場で上司にセクハラされてとても嫌な目にあって落ち込んでるんだ」
♂「オレにどうしろっていうんだ。オマエにスキがあったんじゃないか」
♀「ぶちっ(堪忍袋の緒が切れた音)」
超モデルケース:こんなオトコが実在するのか不明だが)
♀「仕事でいやなことがあってさあ・・・」
♂「大変だったね。なにがあったの?」
★ここで「なでなで」とかしてくれれば、大抵はここで終わる(笑)
♀「これこれかくかくしかじか・・・・」
♂「なるほど、でもそれは理不尽だね。でも仕事は続けたいんだろ」
♀「話したら少しすっきりした。ありがとう」
というように、女子はまず同調して話を聞いて欲しいのである。べつにどうしろと明確に回答を要求しているわけではない。何だか話しているうちにアタマがクリアになってきて、落ち着くのである。それを『オレにどうしろって言うんだ』と言われても返答のしようがないのが事実なのである。
ちなみに、クライアント(特に女性)が、姑への不満や家族への不満などを話はじめて、話し終わったらすっきりして帰った、という体験をしている方は多いのではないか?女性が何か不満や不安をぶつけてきたら同調するのが一番いいのである。
ここまでは「女子目線」の話。
ここからは『男の話』。毎週「日経アソシエ」のwebに連載されている島地勝彦氏(元週刊プレイボーイ編集長)の『乗り移り人生相談』が遂に書籍化されたのである。私はこれを非常に楽しみに愛読している。
『これはただの人生相談ではない。何しろ今は亡き昭和の文豪たちが天国から降臨し、ある男に憑依してあなたの悩みに答えるのだから。
その文豪たちとは次の三人である。眠狂四郎の生みの親、不羈の想像力で時代小説の新地平を拓いた柴田錬三郎氏。天台宗大僧正にして参議院議員そして直木賞作家…天衣無縫の怪物、今東光氏。世界を股にかけ珠玉の文章を残した行動派作家、開高健氏。彼らの言葉を口寄せするのは「週刊プレイボーイ」の編集者時代に、三文豪を回答者に据えて人生相談コーナーを担当した島地勝彦氏だ。柴田錬三郎氏には息子のように、今東光氏には孫のように、そして開高健氏には弟のように可愛がられた島地氏は、人生相談コーナーを通じて門前の小僧よろしく人生の様々な奥義を教えられた。
島地氏は言う。「従って、シマジの言葉はシマジの言葉にしてシマジの言葉にあらず。剣豪作家シバレンの、今東光大僧正の、開高文豪の言葉なのである。心して聞けい』
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今回は、webと違ってシマジ氏の人生相談への回答への反論も載せられている。それに対するシマジ氏の回答もなるほど、と頷けるのである。中にはシマジ氏の回答を読んで『気持ち悪くなるけれど読んでしまう』という方もいるらしい。私は勿論気持ち悪くはならない(笑)。珠玉の名言集だと思うのだが。
『自分はいつも正しいと思っているような奴にロクなのはいないからね』って確かにそうだ。何故、いつも正論を言っている輩はつまらないんだろう。と思っていたら、
『最近の男性週刊誌が面白くないのは、不寛容すぎるからだよ。むっつりと不機嫌で何でも道徳的に断罪するモテない男のような匂いが誌面から漂ってくる。そんなものを読んでいてもまるで愉しくないだろ。不寛容な人というのは、正直者である自分が損をしているという思いがあるんだね。自分は正しい、少なくとも間違ったことはしていない。なのにうまく行かないことばかりだ。そんな鬱屈が人を不寛容にする』と書いてある。そうか、だからつまらないのだ。これは男性に限ったことではない。
また、シマジ氏が尊敬の念を込めて「オヤジ」と呼ぶ今東光大僧正の「毒舌身上相談」も面白い。私は非常に面白いと思うのだが、中にはこれを呼んで『下品だ』と『気持ち悪くなる』と怒った人もいた(笑)
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シマジ氏はシバレン師匠から、『上質な脳みそに裏打ちされたえこひいきをされるようになれ』と教わったそうだ。
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最後に、もう一冊。
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さて、色々好きなことをかかせていただいた一週間だった。2010年東京操体フォーラム分科会は4月25日に青山コンフォートで開催される。事前申し込みは4月15日まで(それ以降は参加費用が変わる)。
皆様のお越しをお待ちしております。
明日からの担当は、「龍馬」と三浦理事長に呼ばれている島根の福田画伯です。
それではごきげんよう
畠山裕美