今回の分科会で、岡村理事、佐伯実行委員、小松実行委員が
膝裏谷(ひかがみ)とはなにか、操体ではどう扱うものかをテーマに発表しました。
操体ではからだのようすをひかがみで診ます(もちろん他の見方もします)。
橋本先生がいかにひかがみを大事にしてきたか、私たちはひかがみの宇宙を探検しているといっても過言でもありません。表現はオーバーですが…。
今回参加された方は、実行委員に実際にひかがみをふれられたと思いますが、どのような想いを持ち帰られたでしょうか。
ところで、操体では当たり前のようにひかがみが語られていますが、日常で「ひかがみ」という言葉が使われているのか、検索してみました。
最も使われているのは武道の身体運用の用語としてです。また、アニメにでてくる女子高校生の「ひかがみ萌え」というのもあります。前者は例えば弓道で矢を射る時に「ひかがみをのばす」など、膝の裏を生かすのに使われます。
後者は「けいおん!」のように女子高生の後ろ姿にある無防備なヒカガミにこだわりを持っているマンガ家、読者も多いです。
あるかたのブログにヒカガミへの想いが集約されていたので紹介します。
http://d.hatena.ne.jp/michiaki/20050811
そうです。ひかがみにはその人が化粧等でごまかしたり、隠すことのできない部分なのです。ひとの無防備な表情がでています。100人いれば100色のひかがみ。からだも一人一人ちがうのだよと、ひかがみ氏は語っております。
(ちなみにこれら話を夫にしたところ、実は彼も女子学生のひかがみにはこだわりがあり、お気に入りのタイプがあると判明。長いつきあいでいでも知らないこと多し)
また、作家では松浦寿輝の「あやめ 鰈 ひかがみ」という作品もあります。
*松浦寿輝
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BE%BE%B1%BA%BC%F7%B5%B1
*「あやめ 鰈 ひかがみ』
生と死の狭間のエロス。木山捷平文学賞受賞東京の片隅で、一夜のうちに起こった出来事をそれぞれ語る三つの物語。まったく独立したストーリーながら絶妙な照応関係で絡み合い、読者を夢幻の世界へと誘う。
- 作者: 松浦寿輝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/03/04
- メディア: 単行本
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松浦氏は、暗いうごめく闇の中でおきた三人の男の感覚を表現していきます。時間と空間がねじ曲がって、自分の感じたものだけが自分にとってのリアルとなる。現実と思っていることが本当のすべてなのか、そうでないのかを感じるという点で面白く読み始めました。
私は原マスミ、佐野四郎のように夜を唄う曲が好きなので、全体のムードは良いのですが、死臭漂うその腥さ(なまぐささ)の中に悦楽を感じる程リミッターがきれていないので、途中からは厳しかったです…。
その第三話に松浦氏はひかがみへのエロス的妄想を主題にされました。
テーマ自体はわたしにとっては厳しいものの、私と同じ名前が登場したため「これは最後まで読め!」ということだと思い、読み切りました。
私が目論んだように、「この本を読んだら、ひかがみをより臨床に生かせるかも!」
そう思ったあなたにはこの本はおススメしません(爆)。
しかし官能も宇宙の一部に含まれるとすれば、氏の詩的表現はあなたの感受性を耕すかもしれません(ただ、趣味があわないと読むこと自体厳しいかもしれませんが)。
個人的には「老後なんてものはない」「こどもは大人を憎んでいる」といくつかの視点に興味を持ちました。息食動想の想につながりそうです。
松浦寿輝氏は猫好きでもあるので、もう少し別の本も読むつもりです。
それにしても、世の中には、意外とひかがみに注目している人がいるんですね。
共通して言えるのは、皆さんマニアなこだわりがあるということでしょうか。普段人が気にしないであろう部分に注目する。考えと感覚を深めているようです。
我々も、ひかがみを通してからだという宇宙を見させてもらっています。
もちろん、エロス的目線では見ていませんから、ご安心を。
森田珠水