橋本先生の著書を読んだりすると、いろいろなことが書かれております。
操体の原理から、太極、第七の天、救いと報いと、
オツムの弱いワタシからすればオーバーヒートしそうなものもありますが、
ワタシが興味を引かれているものの一つに耳掃除のオッサンのハナシがあります。
「・・・私が初代の函館市学校衛生技師おしておったとき、
毎日、小学校を訪ねて歩いていた。或る日、某校の衛生室で沢山の子供が集まっており、
一人の袴をはいたズングリしたオッサンが、何やら子供の耳から、反射鏡も用いずに、
大豆大・小指頭大のものを次から次に取り出している・・・」
(『生体の歪みを正す』より)
このオッサンのハナシは『からだの設計にミスはない』にも登場するのですが、
耳掃除の羽毛に油薬のようなものをつけて、
細い耳鉤でポンポンと異物を取り出してしまうそうなのです。
いやぁすごいですねぇ。こんな技術ほしいです。
こんな技術があればウチのおぼっちゃまの耳掃除のときに、
「え〜痛くしないでよ〜」なんて言われなくてすみますし。
通称亀さん(清水亀芳氏)と呼ばれるその方は、床屋の小僧さん上がりで、
あるとき上海から来た方の耳掃除を見てから一発発起、
研究に研究を重ねて耳腔技術なるものを創案し、この道50年なんだそうです。
そして橋本先生は、その異物摘出技術の秘訣をすっかり教わったと書かれております。
さすがに橋本先生・・・というわけなのですが、その後に書かれた中に
「世には、知られざる名もなきお篤志な研究家が沢山あるが、
なかなか陽の目を見ないで埋もれているものも多くある。
私が今までに会得した鍼灸術とか骨格矯正術とか、その他の特技も、
みな彼らから学び、ヒントを与えられ、工夫を加えたものにすぎない」とあります。
お宝はどこに埋まっているかわかりませんネ。
そうしたものにピン!と反応できる感覚を養いたいものでございます。
中谷之美
2012年秋季東京操体フォーラムは11月18日(日)津田ホールにて開催