東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

盲点その2

 5日目はストレッチや筋トレについて書いてみたいと思います。よろしくお願いします。
 リハビリなどでよく使われる手技のひとつに、ストレッチや筋トレがあると思います。もちろんストレッチや筋トレの方法や種類はいろいろあります。
 ストレッチの種類では、バリスティックストレッチ (反動をつけて行う動的ストレッチ)、スタティックストレッチ (呼吸に合わせて行う静的ストレッチ、これが一般的に使われているストレッチがこれになります)、ダイナミックストレッチ(動的なストレッチで、サッカーなどで行われるブラジル体操などがこれになります)、徒手抵抗ストレッチ(PNFストレッチともいい、筋肉の持続的収縮を利用して筋肉を弛緩させるストレッチです)、クライオストレッチ(冷却とストレッチのコンビネーションを主にリハビリで使います)があります。また、筋トレでは筋肉に収縮方法によって異なりますが、アイソメトリック・コントラクション(等尺性筋収縮で、関節運動が伴わず、筋肉の長さも変化しない状態で力を発揮させる)、コンセントリック・コントラクション(短縮性筋収縮で、筋肉が縮みながら力を発揮させる状態)、エキセントリック・コントラクション(伸張性筋収縮で、短縮性収縮と反対に筋肉が伸びながら力を発揮する状態)の方法があります。
 このようにストレッチも筋トレも方法や種類は沢山ありますが、すべて目的とした筋肉に対しておこなわれるという点と、自分のからだの感覚に対してききわけるということはありません。ここが盲点のような気がします。
 今日は、ストレッチや筋トレが目的とした筋肉に対しておこなわれるという点の盲点について書きたいと思います。
 「○○筋に対してストレッチや筋トレをおこなう」とよく言いますが、この時に目的とした筋肉に最大限の効果を求めるために、動きの代償運動を防ぎます。僕はここに疑問を感じますが、皆さんはどうでしょうか?
 人間のからだには、身体運動の法則の中に連動の法則があるように、連動のないからだの動きは存在しないのです。それを連動の動きを代償運動として、筋の単独の評価としては必要なことかもしれませんが、連動の動きを固定して単独の動きや単独の筋肉に対してトレーニングをすることが、かえってケガが多くなるからだ作りになってしまったり、理に適ったフォームから逸脱する可能性があるように感じます。
 ストレッチや筋トレは、スポーツレベル向上のために必要だと思いますが、もっとからだの連動の動きを活かす方法が必要だと思います。最近の痛みを主訴として来院されるスポーツ選手の多くは、レベル向上という目的で肉体改造という言葉に踊らされ過ぎて、筋トレを頑張っている方が多いように感じます。実際に筋トレを頑張っているからだの動きを診ると、連動が不自然だったり、各関節単独に動いていて関節に負担がかかっているケースを身受けます。このようなスポーツ選手に、からだの使い方・動かし方を指導すると、レベル向上や障害予防に繋がるケースをみていると、益々「○○筋に対してストレッチや筋トレをおこなう」ことに疑問を感じます。
 自然な連動の動きを促す方法でおこなうことで、もっと日常生活やスポーツのフォームに活かされたトレーニングになると思います。からだには身体運動の法則にある使い方・動かし方があるのですから。
 今日はこのあたりで・・・。ありがとうございました。