最近、自分の中で気になっていたことがある。
それは親指の使い方である。
人間が生きていくうえで最も使っているからだのパーツの一つに挙げられるのが「親指」なのだが、意外にもからだの使い方のルールの中に、この親指の生かし方・使い方がない。
その理由の一つに「手は小指を利かせる」というルールがあるからだ。小指を利かせるということは肘が正中に向き、肩は下がるということになり、その姿勢のまま親指を使うということになる。
つまり、親指を使うということにおいては肩の力を抜いて、脇を閉めることが正しい親指の使い方ということになる。
そして更に追求していくと「骨盤と肩甲骨の使い方」が大切だということがわかった。
指圧やマッサージをされている方達のからだを観察してみると、腕と肩の筋肉が私達操体の臨床家と比較し発達している。同じ腕と指を商売道具としているのに筋肉のつき方が違うのかを考えると骨盤と肩甲骨の使い方に大きな違いがある。
私達、操体の臨床家は腰が反らないで前湾した状態が基本的な姿勢になる。そして肩甲骨の筋肉はかなり柔らかい。
その理由は親指を点で使うか、線で使うかの違いにある。つまり親指だけを使うと、腰は反り、肩の力が入ることで腰と上腕、親指の母指球に負荷がかかる。それを中指を介して小指側側を利かせ、肩甲骨を使いながら親指を使うと、その負荷は明らかになくなる。
息の長い臨床家、スポーツ選手で故障の少ない人、また肩こり、腰痛に悩まされず健康に過ごしている人は共通して肩に力が入らず、親指と肩甲骨の使い方が上手いのだと思う。