小さい頃から早起きが習慣づいていたので夏休みの
ラジオ体操なんかは張り切って行っていました。
体操の内容はともかく、皆勤賞なら最終日に花火がもらえたので、
せっせと町内会のお兄さんに出席スタンプをせびっていました(笑)
今ではすっかりラジオ体操とはご縁がありませんが、現在も学校や企業で
実施ししているところもあるようです。
早起きすることに意義がある。
朝からからだを動かすことに意義がある。
作業効率を高めましょう。
それぞれに意義があるようですが、もし「からだを動かすことはいいことだ」で
終わってしまっているのであればもったいないような気もします。
からだには使い方、動かし方の法則があります。
すなわち「身体運動の法則」です。
例えばからだを前に倒したとき(前屈)、体育の授業や、運動前の準備体操
などで、皆さんご経験がおありでしょうが、ほとんどは膝を伸ばしたまま
踵に体重をかけて行います。あれはふくらはぎやももの裏を伸ばす、ストレッチ
的要素が含まれているのでああしているわけです。つまり「ストレッチをする」と
いう目的に適ったやり方です。しかし、それが「からだを前に倒すときはこうやる
のが当たり前」になってしまうと、落ちているものを拾うときや洗面台で顔を洗う
ときなど、普段意識して行わないような動きの中でも習慣で通してしまいがちです。
「ストレッチをする」という目的であればこのやり方を通せばいいのですが、
日常的に繰り返されると、ふくらはぎやももの裏が突っ張るだけではなく、腰や背中
の筋肉にも牽引の力が加わり、知らず知らずのうちに負担を蓄積させてしまうことに
なります。
身体運動の法則に従ってからだを前に倒せば、膝は緩んだまま両足の
母趾球(親趾の付け根)に体重が乗ってきます。作法を通して行えば
ふくらはぎやももの裏も突っ張ることがありません。故に腰や背中に牽引力が
加わらず、負担なく動作を通すことが出来ます。試しにやって頂くとその差を
感じられる方が多いようです。
この差を体感して「からだってありがたいな」と感じるのか、
「めんどくさいな」と感じるのかは「想」の問題かとは思いますが…
いかに合目的にからだを使い、からだを動かし、健康を維持するか。
これが「身体運動の法則」の目的です。
そして操体の「般若身経」はそれを学習するためのものです。
「からだを動かすことはいいことだ」とすること自体が悪いわけではあり
ません。これだけ体操やらスポーツが普及しているのですから。ただ、良かれと
思って行っていても、からだを壊してしまうケースが予想以上に多いのも事実です。
問題は「からだを動かすこと=体操=ストレッチ=筋トレ=スポーツ」と
一括りにしてしまっている状況ではないでしょうか。
体操には体操の目的があり、スポーツにはスポーツの目的がある。各種健康法や
トレーニングも一緒です。それを、本来は別々のベクトルを向いているものを
「からだを動かすことはいいことだ」の一点に向けさせてしまっていることが
かえって健康傾斜の歪体化を招いてしまっているのです。
「たくさん食べて元気を出そう」として消化不良を起こしてしまっている
ケースと構造的には同じなような気がします。
筋力はあるに越したことはありませんし、関節も柔らかいに越したことはありません。
スポーツをするのであれば専門的トレーニングも欠かせません。
ただ、「鍛える」という発想と同時に「いかに負担をかけずにその動作を行うか」と
いった発想も必要なのです。前者は「いかに負荷をかけて以前よりも強い状態にするか」
といった足し算の発想です。後者は引き算の発想です。引き算の発想を理解し、からだで
学習を通したうえで、さらに鍛えたいのであれば鍛え、専門的なトレーニングを行いたい
のであれば行えばいいのです。日常生活の中でからだに負担をかけずに健康に暮らす範囲
であれば引き算の発想で十分なんです。そのための法則が「身体運動の法則」であり、そ
れが操体的「動」の営みなんです。
そして、この「身体運動の法則」を「般若身経」を通して学習する。
近い将来、「身体運動の法則」が様々な現場で取り入れられても何ら不思議では
ありません。からだが要求していることですから。
花火とは比べ物にならないくらいのご褒美なんですから(笑)
「2014年秋季東京操体フォーラム」 開催決定
今回は11月22日(土)23日(日)の二日間開催いたします。
メインテーマは「操体進化論」です。
特に、22日は場所の都合上、人数が限られておりますので
ご参加希望の場合はお早めにお申し込み下さい。
詳細は以下、「東京操体フォーラムHP」をご確認ください。
http://www.tokyo-sotai.com/?p=813