「自分のやりたいことをしなさい」という父の言葉から私は感じるがままに自分のやりたいことをしてきました。
自分の尊敬していた人達に囲まれながら好きなものを売る仕事に身を置き、それなりに自分の生き方に満足する生活の中で心の奥底では自分のやっていることに様々な疑問を持っていました。
「これが本当に自分がやりたかったことなのか?」
「このままでは父の背中がどんどん遠くなっていくのではないか?」
「これが父の言っていた自分に素直な生き方なのか?」
そういった問いかけを日々繰り返している中で、ある日、橋本敬三先生の著書が私の生き方を大きく変えたように思います。
その著書で書かれていたことは自分が父から言われてきたことだけでなく、自分が憧れた父の生き様の根底にある哲学が記されてあり、これを学べば父に少しでも近づけるような気がしました。
その衝動から直ぐに父に電話をし、相談に行ったことを昨日のことのように覚えています。
三軒茶屋の喫茶店で私は父にありのままの想いをぶつけたところ、少し間を置き
今まで見たことのなかった表情で「わかった。腹をくくれよ」と。
その時の私は操体が一体どういったことをやっているのかを全く知りませんでしたが、父と、そして父の師である橋本敬三先生がやっていることならば何でもやってやろうという気持ちでした。
しかし私の決意以上に父の覚悟は相当なものだったと想像出来ます。
その覚悟に応えていくことも当時の私にとっては大きな課題だったのだと思います。