東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

からだにききわける、に関する含み。

おはようございます。

免疫力という言葉は、一般的によく見聞きする言葉です。
健康に関する雑誌の広告欄には「これを飲めば免疫力がアップします」といった宣伝文句をよく見かけます。

しかし、からだに負担を与えつづけるような生命活動を習慣化している人が、それを飲むだけで自分の行いはチャラにして、免疫力をアップさせる事ができるとは思えないのです。
生きているという事はバランス現象であり、免疫系統もバランスが大事。

免疫系統もメカニズム的に捉えると、どうしても悪者への攻撃力や異物の排除力といった能力にスポットが当たってしまいがちと思う。
しかし、そうした能力よりも重視しなければならないのは、悪者とか異物をどういう基準で認識、識別、記憶するのかというところであり、こちらと上手くバランスがとれていなければ、自滅崩壊の恐れも生じてくる。

これは実社会にも当てはまると思うが、攻撃力が高いからといってやたらに戦争をされても困るし、権力を握ったからと気に入らない者は排除するというのでは周りはいたたまれない。

理性的な認識、識別が大切と思うが、理性というのは一元的となりやすく、そこに囚われてしまうと大局的な判断が鈍るという面があるようにも感じる。
理性は大事だが、その元になっていると思われる良心はもっと大切だと思う。


からだの自律した自然な営みには良心が深く関わっており、これが多元的で複雑な営みのなかで大局的に判断する事を可能としているのではないかと思う。
原始感覚にしてもそうだと思うし、その判断には人間はじめこの世を創造した神仏なり太極の意志が関わり、それが深いところで良心として記憶されているのではと思う。

以前、師から「からだにききわける」には「御霊にききわける」「良心にききわける」という意味合いや含みもあると教えていただいた事が思い返された。
またノヴァーリスの詩を引用しながら「目に見えるものは目に見えないものに触れている」
といったことも教えていただいた。

からだは目に見え、自分の想いにも従ってくれるから道具のような考え方をしがちですが、そうではなく目に見えないものに触れながら生存のバランスを保ってくれている。
自分の心や思考の根底のところをも補ってくれている。
健康は一大事である。免疫バランスの向上も健康あればこそであり、その元の健康(生命活動のバランス)を底上げしていく必要がある。
その為にも、からだにききわけるという事を重視する必要があると思います。