東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

 荒療治

急に腰が痛くなって動けないという患者さんを診させていただいた時の話。
一昨日から痛み出して、昨日から全く動けないとのことでした。
痛みのためにほぼ八方塞がりの状態です。
動かせないのなら動いてもらう必要はありませんから、足首に渦状波をしました。
しばらくするとからだをモゾモゾしています。何か変な感じがするそうです。
すると突然、動かせないはずの腰がガクガクガクガクと痙攣するように動き始めました。
無意識の動きです。しかし、本人は痛みも感じているようです。
でも、からだが勝手に動くのだから仕方がない。
しばらくの間、ガクガクガク、「痛い痛い」、ガクガクガク、「痛い痛い」を繰り返していました。
30分程そんなことを繰り返していたら、だんだんと動きがなくなってきました。
落ち着いてきたところで、その日の治療はそれで終わりにしました。
次の日の朝、私から電話をしてみると本人が電話にでて、痛みは残っているものの
もう立って歩けるし、トイレも行けるし、顔も洗えるようになったということでした。
私は昨日の治療で無意識の動きとはいえ「痛み」を出してしまったことに反省をしていたのですが
からだは見事に回復していたのです。少し「?」な感じでしたが、まあ、ヨカッタ。


後で、三浦先生にそのことをお話しすると
「詰まったゴミを早く出そうとして、からだはそういった荒療治(痛み)をすることもあるかもしれんな。
しかし、そういった痛みをなるべく出さないようにする操者の引き出しは必要だ」とのことでした。


からだは「気持ちのよさで治る」。これは間違いがありません。
しかし、時には荒療治をすることもあるようです。
そういった時に操者がどういった対処をしていけばいいのか?勉強は果てしなく続きます。



中谷之美