東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

仮説と真理

おはようございます。
昨日は、操体創始者・橋本敬三先生が否定されているウィルヒョウ理論を説明し、千島喜久男博士が、研究生であったころにウィルヒョウ理論を覆す発見をされたことを述べました。
今日はその千島学説についてもう少し詳しい説明を加えていきたいと思います。

前回紹介致しました稲田芳弘氏の「ガン呪縛」を解くからの引用が多くなるのをお許し下さい。

千島博士が胚子の生殖腺発生を観察する際に、それまでの研究者と違って、胚子の中腎(生殖器の発生に重要な役割を果たす器官)と生殖腺を切り離さないで、顕微鏡を覗いたことで、赤血球生殖細胞へと移行する画期的な発見をしました。
これの意味するところは、通常時と異常時の違いです。
これは、あらゆる生命体に共通する現象であると思います。
たとえば、畑を耕しているとします。
すると地中でゆっくりと蠕動運動のような動きをしているミミズをクワで半分に切り、地表に放り出すことがよくあります。
その時のミミズは素早い飛び跳ねる動きで通常時とは全く違います。

実は、顕微鏡のプレパラートの上では、昼間の光を浴び、からだを真二つに切り裂かれたミミズ状態が展開されているのです。
つまり異常時の状態を観察し、ミミズは素早く飛び跳ねる生物と判断されるのです。
このことから、推測できるのは、細胞分裂という現象は、事実ではあるが、異常時にのみ行われ、通常時では赤血球生殖細胞へと変化移行するということ。

このことを如実にしめす2つの事例「ガン呪縛」を解くからご紹介いたします。

         「骨髄造血説」

<「骨髄造血説」が登場したのは1868年のこと、これは
ノイマンとビッズオセロという二人の学者がそれぞれの実験から提唱したものだった。
そしてその学説を1925年に、ダン、セーヴィン、キャニンガムの三人の血液学者が動物実験をして「確認」した。
アメリカの三人の学者がやった実験とは、ニワトリとハトを9日から10日間絶食させた後に観察するというもので、そのときに確かに骨髄で血が造られていることが確認できたという。
          (中略)
こうして今日の血液に対する「常識」が構築されていくことになったが、しかしその始まりはなんと「絶食させたニワトリとハト」の骨髄をしらべてのものだった。
問題は、なぜわざわざニワトリとハトを絶食させた後で調べたのかということだが、健康な状態では骨髄内に脂肪が充満していて造血が見られなかったからである。

絶食すると骨髄で血が造られる、これは事実のようだ。
しかし健康状態のときはどうなのか。
現代医学ではもちろんどんな場合でも血は骨で造られると言っている。
なのに、それを完璧に実証した研究者はまだ誰一人としていない。実証したくても、健康状態では骨髄に脂肪が充満しているため観察ができないのである。

ただ、その後血液細胞のコロニーが寒天培地で作られるようになったため、多くの実験研究が行われるようになり、その結果、「すべての血液細胞は一個の母細胞に由来する」と考えざるをえなくなってきた。
そこまでは良かったものの、しかし肝心の「造血幹細胞」を骨髄の中で形態的に確認することはなかなかできなかった。「それはたぶんリンパ球に似たものだろう」などと、さまざまな「推理」や「憶測」が飛び交っていても、いまだにはっきりとした観察がなく結論も出ていない。

つまり、骨髄の中の細胞を形態学的に「これが造血幹細胞だ!」と特定した者はおらず、それはいまなお「幻の細胞」のままなのだ。
というのに、なぜか「骨髄造血説」が定着してしまったのである。

これに対して千島学説は膨大な観察データに基づいて「血は腸で造られ、血からすべての体細胞と生殖細胞が造られる」としている。
しかも断食で血の原料が得られなかったり、病気のときや大量出血などの異常事態が発生したときには「体細胞が血に戻る」という可逆性があり、骨髄で血が造られるのはそういった異常事態での一部的な現象という。

早い話、千島学説では「食べたものが腸で血となり、血が細胞に分化(進化)して体を作り、血が不足したり病的になった場合には、体細胞が血に戻っていく」、つまり「食べたものが血となり、肉となる。そして状況次第で肉(細胞)が血に戻ることもある」としているのである。>

        「細胞分裂説」

<発生学と遺伝学の世界的権威として知られるエジンバラ大学のワジントン教授は、一個の卵細胞が分割を重ねてついに一匹のオタマジャクシになる過程を顕微鏡映画に作り上げた。
それを観れば、なるほど細胞分裂説が本当らしいと合点もいく。
その映像作品は、あたかも細胞分裂説を不動の定説として実証しているかのようだからである。

そのワジントン教授がかつて来日し、名古屋大学で「カエルの卵からオタマジャクシまで」と題する顕微鏡映画を上映して講演をしたことがあった。
そのときまだ健在だった千島博士はワジントン教授に質問した。
以下は、そのときの二人の質疑応答の内容である。

千島:あなたは、卵細胞がたくさんの分割球(細胞)にわかれるとき、まず、細胞核が有糸分裂で2分し、ついでに細胞質がわかれて定期的な細胞分裂で細胞数が増加することを実際に観察されましたか?

私の観察したところによれば、カエルの卵分割は決して定期的な細胞分裂によって起こるものではなく、卵黄球の塊から分割球が同時に多数の細胞新生によって生じるのを観ていますが、この私の細胞新生説をどう考えられますか?

ワジントン教授:私は卵分割に際し、細胞核が有糸分裂によって2分して、次々と細胞数が増加することを実際には確認していません。だから細胞分裂で分割球が増加するかどうか明言することができません。
あなたのほうがよく知っているでしょう。

これを読めばお分かりのように、その映像を作った発生学の世界的権威ですら、あいまいな答えしかできなかったのだ。にもかかわらず今日の生物学者たちは、自ら実際に実験観察をして直接確かめることもなく、ひたすらウィルヒョウの細胞分裂説を「盲信」する。

細胞分裂説」が「定説」に祭り上げられるやいなや、ほとんどの学者たちが「権威ある本の活字」を信じて、それとは違った様相を呈する自然や生命現象を切り捨ててしまうのだ。
          (中略)
千島は言う。
「最初に卵細胞の核が2分して2細胞になり、さらにそれが4細胞期、8細胞期となる場合、既存の細胞核が2つに分裂して卵分割が行われるのを実証するのは困難である。
まして数回の分割ともなれば、誰一人として、細胞核が分裂して、次いで細胞質が分裂するという、定期的な細胞分裂の5つの時期を経て分裂するものであることを確認した学者は、おそらく一人もいないだろう」と。>

以上が「ガン呪縛」を解くからの抜粋です。
細胞核が有糸分裂によって2分し、細胞数が増加することを実際には確認していないワジントン教授の顕微鏡映画は、一体何なのでしょう?
ウィルヒョウ理論を鵜呑みにした編集映画といわれても仕方がないように思います。

もうこれ以上のことは申し上げられません。
現場で必死に働いておられる誠実な医療従事者の方々が多い中で、鍼灸学校の学生が現代医療のことをとやかく言える立場にありません。
また「ガン呪縛を解く」を鵜呑みにしている私が非常識であるともいえます。

ただ、私は直感的に千島学説が正しいと思い、私なりに素直な表現をしたつもりです。もし不快な点がございましたら、お許し下さい。

また千島学説では、ホツマ伝え、カタカムナ文字に言及した文章もあり、これらの古代文字を研究された操体の創始者・橋本敬三先生と同じ思想であることが分かります。
日本人が独自の日本医学を作り上げるためには、橋本哲学と千島学説を土台にした真理の道を歩き続けることだと私は思っています。

千島学説に関しては、いずれまた語る時があると思います。それまで、ゆっくりと勉強!

明日は最終日・・・・・何が飛び出すかお楽しみに!



佐伯惟弘