詩人 吉野 弘さんにステキな作品があります。
紅葉(黄葉)清談
物の本によれば
上代にはモミチと発音し
「黄葉」の漢字をあてていたが
平安時代以後、モミヂと濁音化し
「紅葉」の漢字をあてるようにもなった ― と。
なお、モミチ、モミヂの発音は
「色を揉み出すこと」から来たものか
と記した本もある。
ところで、或る日私は、秋の渓谷で
紅(黄)葉真盛りの樹木たちに、ふと尋ねたのだ。
錦繡にも譬えられるこの鮮やかな色彩が
樹木ご自身には見えているでしょうか?と。
ご懸念には及ばず ― と樹木たちから即答があり
人間には察知できない視覚を私たちは具えていて
自前で染めた装いの出来映えを楽しんでいます
信じていただけるならお信じ下さい ― とのこと。