東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

弱点まで愛して

先日のブログでヘビ嫌いを克服したという話を書きましたが、

私には未だに克服されることのない三大弱点があります。

1つ目はカキ

2つ目はホウレンソウ

3つ目は水泳

1つ目のカキは牡蛎オイスターです。弱点というよりも
美味しく頂いた後、かなりの確率で体調を崩します。
前回3年前に頂いた時には蕁麻疹がでて、その前は2回食べて
2回連続ノロウィルスに感染したと云う不名誉な記録が残っています。
これは弱点というよりも体質の問題ですね。

2つ目のホウレンソウは先日書いた通り報告・連絡・相談です。
これは今年の克服リストの筆頭に上がっている重要課題です。

3つ目の水泳はプールや海でのスイミングです。
何を隠そう私はほとんど泳げないカナヅチくんなのです。
泳げないと言っても、海もプールも大好きなので
夏には必ず家族揃って遊びに行くのですが
泳げない私はいつも浅瀬で子供たちと戯れる専門です。
しかし、こんな私でも小学校低学年までは
25メートル(小学校のプールの幅いっぱい)ぐらいは
泳げていたのです。

今年のお正月に私の実家でおせちを頂いている時に
「何故、私は泳げないのか?」という話が話題に上がっていました。
幼稚園や小学校の低学年の頃まである程度泳げていたにもかかわらず
突然泳げなくなるにはやっぱり理由があったのです。

私と3歳年下の弟は夏休みになると毎年欠かさず
母方の祖父母の家に1ヶ月間ほど預けられていました。
両親共働きでしたし、母方の田舎は農家でしたので田舎でのびのび
過ごさせようというちょっとした自然教室のようなものです。

その年の夏休みも私と弟はふたりで電車を乗り継ぎ、祖父母の家に
泊まりに来ていました。朝6時30分のラジオ体操にいってからは
一日中ず〜っと野山を走り回って遊んでしました。
本当にど田舎なものですからプールなんてありませんので
暑くなれば川にいって川遊びを楽しんでいました。

その日も私は弟とふたりで川へ川遊びに行くことにしました。
私と弟は川をせき止めて作った小型のダムで遊んでしました。
その堰にはなだらかな傾斜がありプールにあるウオータースライダー
の様な造りになっていて格好の遊び場所でした。

夢中になって遊んでいると突然弟の姿が見えなくなりました。
なんと弟が川の深みに嵌り今にも沈んでしまいそうになっていました。
私はなんとか弟を助け出そうと、無我夢中で弟の元に駆け寄りましたが
私まで一緒になって深みにはまってしまいました。
泣きじゃくる弟を抱えて私は恐怖で鳴き声すら出ないくらいでした。
実際に溺れていた時間は数秒間だったろうとは思いますが
その時の私には随分長い時間に感じられました。

結局私が現在でもピンピン元気にしていることでもわかる通り
流されるまま上手い具合に浅瀬にたどり着きこと無きを得ましたが
それからと云うもの川だろうが学校のプールであろうが
入るだけならば大丈夫なのですが、泳ごうとすると必ず
強くからだが硬直し、ひどいめまいに襲われる様になりました。
それからと云うもの高校3年生まで夏のプールの時期はというと
毎回通知表の体育の成績は2でした。

この話は怒られるのが嫌で大人の人には秘密にしていたので
ウチの両親も始めて聞いた話に目を丸くしていました。
今自分が子供を持つ親の立場になってみて、そんな危険なところへ
遊びに行くこと自体が問題だとは思うのですが、後先考えずに
溺れている弟を助けに行こうとした子供の頃の自分が
なんだか少し誇らしくも思えます。

その前も後もけんかばかりしている兄弟でしたが
こんなエピソードも今となっては本当に良い思い出になっています。
しかしこのブログを書いているうちにも頭が重たくなっている
所を見るとまだこの時の思いを克服出来ていないのでしょうね。

弱点って一般的に見ると人より劣っているし無い方がよいのですが
その人の弱点の中にも色々な人生が映し出されているのかもしれません。
痛みや機能低下も肉体的な弱点かもしれませんが、その弱点の中には
その方の生活環境や職業、生き様、そんないろいろな人間の歴史が
刻まれているのかもしれません。そんなストーリーを引き出すのも
私達治療家ならではのコミュニケーションなのかも知れませんね。