東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

われ思うゆえにわれ在り

「みなさんは自分の時間って作ることが出来ていますか?」

仕事、家庭、趣味、その他自分自身を取り巻くすべての環境。日々の生活の中で自分の存在、実体が失われている感覚。自分自身は確かに存在しているのに、自分自身の人生を歩めている感覚がしない。そんな感覚に襲われたことはないであろうか。昨年の秋季東京操体フォーラムの時に浦理事長から頂いた色紙に書かれてあった言葉

『まず何よりも自分自身との信頼関係を構築しなさい』

この言葉は確かにそのときの私にとって、最適なアドバイスだったに違いない。いやこれはそのときに限らず現在進行形で最も大切にするべき教訓そのものである。自分自身との信頼関係とはどのように築くべきなのか。いまだに手探りで探している様な状態なのであるが、今回の旅行を通じてなんとなくその糸口が見えてきた気がする。今回の旅の中で、本当に多くのものを見て、多くの話を聞いて、今まで自分の常識だと思っていたことが、本当にちっぽけなものだったのだと思えてきた。それと同時に自分自身は治療家として、経営者として、一家の主としてこう在るべきだと、ある一定の型に押し込めようとしていた自分に気づくことが出来た。少しでも優秀な治療家であるように振舞いたい。少しでも自分自身を立派な人間に魅せたい。尊敬される強い父親で在りたい。より高い目標を目指して努力する気持ちは決して忘れてはいけないと思うのであるが、それが虚栄心や高圧な態度、失うものへの喪失感を伴ってしまうようではまったく意味がない。それこそ『バルの戒め』に反する行為なのだと気づくことが出来た。等身大のありのままの自分が本当に大好きになれるとき、それが自分自身との信頼関係が構築できたときなのではないだろうか。それが三浦理事長の教えでもある

『生かされているイノチにアリガタイと感謝することが出来る』

心境なのではないか。今回の旅行中同行させていただいた同志の皆さんや三浦理事長、畠山常任理事、そしてスペインに招待してくださった小野田先生に素のままの自分で自分の思いを伝え様々な話を聞かせていただく中で、本当に今ここにいさせていただくことを心から感謝し、何物にも替えがたい貴重な経験をさせていただいているという幸福感というものを味あわせていただいた。自分自身でいて本当に良かったと実感することができた。旅が終わり実生活に戻って、また同じ迷いを繰り返しているかもしれない。また同じ壁にぶつかって醜くもがいているかもしれない。でもそんな自分も以前に比べたらなんだかいとおしく感じ始めている。私は物事を理論的に考えるような、崇高な知能を持ち合わせていないので、今回のようなディープインパクトが必要だったのかもしれない。三歩進めば前のことを忘れてしまうような私のことなので気がついたらまた自分を見失い不安になり、自分自身を偽り、自分の心を縛ってしまうかもしれない。しかしそのようなときでも操体という自分自身の正しい道しるべがある限り何度でも軌道修正が出来る気がしている。なんだか懺悔でもしている文章になっているのは気のせいだろうか。ひょっとしたら教会やら宗教画を見てきたからなのかもしれない。でも、なんとなくこんな内容が頭に浮かんできたので書くことにした。考えて見たらまだ3日も残っているのに明日書くネタに困りそうなことを書いてしまったものである。どうせ書くなら最終日に書けば少しはまとまるかもしれないのに・・・でもこれが私という人間なのかもしれない。

秋穂一雄


新刊情報:皮膚からのメッセージ 操体臨床の要妙Part Ⅱ(三浦寛著)、たにぐち書店より発売。 
11月20、21日千駄ヶ谷津田ホールにて2010年秋季東京操体フォーラムが開催されます。
2010年8月、社団法人日本操体指導者協会を設立しました。