東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

アンダーマイニング効果。

アンダーマイニング効果。

おはようございます。
今日は昼頃から気温が上がってくるようですね。
朝、雑巾を絞っていても、それ程苦にはならなかったです。
そろそろ大掃除もしなくてはならないですね。



もう一ヶ月ほど前になりますが、新聞に目をとおしていると
{金銭報酬は「やる気」をくじくということが脳科学実験で裏付けられた}
との記事が載っていました。
これは、玉川大学脳化学研究所の松元賢二准教授やドイツ・ミュンヘン大学の村山航研究員らが、大学生の男女28人を成績に応じた金銭報酬を提示したグループと、報酬を提示せずに実験後に定額の報酬を払うグループに分け、ストップウォッチをできるだけ5秒近くで止める課題をやってもらい、脳活動の変化を機能的磁気共鳴画像診断装置(fMRI)で測定したという記事でした。
実験結果の内容は、最初の実験では両グループとも課題に対する意欲や達成感に関係する前頭葉や大脳基底核が働いていた。しかし、報酬を支払わないことを告げた2度目は、報酬を約束されていたグループでは脳活動の高まりが消えて「やる気」が低下したのに対し、最初に報酬が提示されなかったグループは、一回目と同様の脳活動を示した。機械的にストップウォッチを止めるだけの「やる気の起きない課題」では、このような脳活動の変化は見られなかった。また、休憩時間の行動を観察すると、報酬を提示したグループで課題に取り組んだのは14人中5人だったが、報酬と無関係のグループは14人中12人が積極的に課題を楽しむなど、自発的な「やる気」の差が顕著にあらわれた。
とのことでした。
新聞記事にしては最後の方は内容が解りづらい文章だと思いましたが、「アンダーマイニング効果」という現象を脳科学実験で裏付けたということのようです。
アンダーマイニング効果の定義は「ある課題に内発的に動機づけられて取り組んでいる人間に、予告した上で外発的な報酬を与えると、もともとの興味や関心が低下することがある。これをアンダーマイニング効果と呼ぶ。」ということで、自分が好きでやっていることに対して、報酬がもらえるなど外から理由を作られると、今まで好きだったことがあまり好きではなくなり、やる気も失せてしまうことを指しているようです。
またアンダーマイニングとは「弱らせる」とか「ひそかに傷つける」という意味もあるそうです。
この「ひそかに傷つける」という言葉はなにか引っかかります。
社会環境が経済優先の考え方になればなるほど、本来の生き方や愉楽しみを見失い、自分でもわからないうちに、傷つき疲れてしまうという人が増えてしまう、ということなのかもしれません。
操体法〜生かされし救いの生命観」の18ページに、橋本敬三先生がユダヤ議定書という怪文書のことを少し紹介していますが、これにも何か通じるような恐ろしさを感じます。


我々、臨床家もプロである以上当然、お金はいただいています。
しかし、操体法で臨床をとおしている人は、アンダーマイニング効果というものとは無縁と思われます。
なぜなら、「何分やったから、いくら¥いただきます」という仕事ではないし、結果としての金銭報酬よりも、その時の今の、相手のからだの要求感覚に従うべく、相手と向き合っている中での喜びや感動、学びの方が勝るからです。
相手は勿論傷つけてはいけないし(いろんな意味で)、自分も傷ついてはいけないのです。



操体法の医学の基本
 1.病気を抑圧する医学ではなく、からだに備わった潜在的な治癒力の発言を助長する非暴力的な医学。
 2.ヒポクラテスの2大教訓
    ・傷つけることなかれ。premumnon nocere
    ・自然治癒力を嵩めよ。vis meelicatrix‐naturae
 3.命に宿る英知、この生かされし命に対する快の方向性に従う医学。
             (三浦寛先生著、「快からのメッセージより」)



今日も多くの喜びや感動、学びがありますように。



友松 誠。


2011年東京操体フォーラム分科会は4月29日に千駄ヶ谷津田ホールにて行います。http://www.tokyo-sotai.com/

2011年2月から足趾の操法集中講座を開始します。


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