(昨日のつづき)
自然の巡りの生命活動のなかで、人間がその流れに寄り添うようにどのような生活を創造していけるのか。
都市部に雨が降った際に、人間がつくった下水道に集約していく雨水の量を見直し、代わりに雨水が地中に浸透していく流れを模索する。
グリーンインフラの流域治水の説明のなかで、その考え方をいくつか教えていただいた。
ひとつには水田や農地、緑地や屋敷林など植物が根を張っている土壌環境の持っている浸透能力を再認識することだ。アスファルトや家屋の屋根に降り注ぐ雨水の浸透能力は0mm/hだが、これが植物が根を張っている環境では浸透能が生まれてくる。
人間に踏み固められた裸地やグラウンドでは7mm/h程度の能力になるが、農地や落葉樹林の生育する土地では200mm/h以上にもなるというデータを見せてくれた。
植物が地中にデザインしている環境能力がいかに優れているかを教えてくれる。
このことを踏まえて、雨水の自然循環という視点でも上記の緑地などの価値を見直していくことができる。
同時に、大変興味深く、またひとごとではないように感じたことがある。
それは、こういった緑地などの自然環境が与えている多面的な効果だ。
温室効果改善へのプラスの影響や、人間以外の生き物にとっての居場所、生態系の再構築、また人によって好みは分かれるかもしれないが、植物がもっている癒しの効果の可能性もある。
これは自然の持っている多面性のほんの一部でしかない。
人間の観察力と創造力、好奇心や言語能力などあらゆる智慧を自然の有している豊かな多面性を再評価することに全力で傾けていくことが求められていることを痛感した。