東京操体フォーラム 実行委員ブログ

 操体のプロ、東京操体フォーラム実行委員によるリレーブログ

武士の切腹

つづき

 からだの中のブラックホール、それはちょうど 「へそ」 のすぐ左下にあった。 その場所には、「死の重要な個所」 が存在しており、それはとても微妙な 「要点」 である。 日本の武士の 「切腹」 という言葉の語源はこの 「肚」 から来ている。 インドの神秘思想であるヨーガではこの場所を 「スヴァーディシュターナ・チャクラ」 と呼び、俗に 「臍下丹田」 とか 「気海丹田」 などと云われている。

 

 この 「肚」 というのは、からだの内側のブラックホールを意味している。 そして、「切腹」 というのはいわゆる自殺のことであるが、そのブラックホールを使うことを意味する。 日本の武士は自分自身を殺すことにかけては、とても腕前を上げてきた。 世界中で誰も日本の武士ほど簡単に自分を殺せる者はいない。

 

 それは日本の武士たちが正確な 「死の要点」 を見つけ出していたからである。 武士は腰に 「二本差し」 をしているが、この内一本は大刀を差し、もう一本の脇差こそが、切腹用として携えているものである。 その短い方の刀で武士は、ずばりその 「肚」 の中心を突き刺して斬る。 

 

 しかし、その自殺は無痛だと言われている。 何の痛みも感じられない、何の苦しみもない、そして武士の生命はあっさりと消え失せてしまう。 武士はじかにからだの中のブラックホールである死の重要な個所に触れることができたのである。 そのように痛みも苦しみも感じないというのなら、それは 「快感」 と云えるものなのか?

 

 仮に、喉の頸動脈を切っても死ぬことはできるが、そこには苦しみが伴う。 というのも、喉から肚までは結構な距離がある。 その距離を、死は踏破しなければならない。 西洋ではギロチンという死刑がある、それは罪人の頭をちょん切るというものだが、そのからだは数分間生きたままである。 そのからだは震え続けて、とんぼ返りするほど苦しみ続ける。 というのも、じかに 「肚」 を貫いていないからだ。

 

 日本の武士は切腹という自殺を犯した、しかし、その顔に死相など何も見られないほど実に簡単に、実に静かに自害することができる。 その武士の顔は前と変わらないくらい生き生きしている。 武士は苦も無くそのブラックホールに消え失せてしまうのである。 これはひょっとしたら 「へそ」 に息を通す操体の快適感覚と同義に捉えていいのかも知れない?                           つづく

 

 

今年も操体マンダラ、海の日に開催致します。

※「操体マンダラ」とは?

三浦寛が一日、操体の最新情報について語る、操体三昧の一日です。 弟子一同にとっては「師匠孝行する日」。

東京操体フォーラムや、通常の講習では語りきれないことを、

存分に出していただこうという算段です。 今年からはリクエストにお応えして、10時〜21時の開催になります。

昼食会 サイン色紙&ツーショット撮影会

足趾の操法®アドバイザー認定、操体プラクティショナー認定式、

今年より「足趾の操法指導者」認定を行います。

開催日時:2019年7月15日(月)海の日 10時〜21時 ルーテル市ヶ谷センター

★予約制で、当日の参加受付はありません。ご注意下さい

https://www.sotai-miura.com/?p=1314